よくある質問


Q1.心理カウンセリングとは何ですか?


A.心理カウンセリングは、心理学、社会行動学などの科学を基にクライアントの感情的葛藤、行動問題や、心理的トラウマへの解決、対処法を見いだす技法です。

強い不安感、悲しみ、怒りに襲われて悩むのはとても辛いことです。カウンセリングでは、そのような感情を客観的、科学的な観点から心理的な問題の “症状“ ととらえます。そして、カウンセリングを通して、症状とその症状が出るきっかけになった問題をクライアントに しっかり把握してもらい、解決、対処方法を見いだしていきます。


Q2.どのような時に心理カウンセリングを受けるべきでしょうか?


A.心理カウンセリングを受けるか受けないかは個人が決めることです。そして、カウンセリングを受ける理由も様々です。心理カウンセリングを受けると決めた方々の具体的な例としては、下記のようなものがあります。


⑴.1ヶ月ほど前から、ちょっとしたことで涙もろくなってしまい、自分でも悲しみをコントロールできません。

朝も起きるのが辛く、生きて行く気力を亡くしてしまいました。


⑵. 交通事故に遭ってから、日常生活で強い不安感に襲われることが頻繁になりました。

事故から1ヶ月以上も経ちますが、不安感はいっこうによくなりません。


⑶.娘が思春期になってから言動が変わり、反抗的になってきた気がします。娘は親 の言葉に敏感ですぐに怒り、

会話らしい会話をしようともしません。最近になって学校の先生からも、娘のクラスでの集中力のなさ、成績の低下を指摘されました。

これから娘の将来を考えると不安でしょうがありません。


⑷. 高校のころから人間関係がうまくいかず、いつも同じようなパターンで恋愛関係を終えています。

どのようにしたら、良い友人関係、恋愛関係を築けるのか知りたいです。


⑸. 旦那が鬱病にわずらっていると思います。旦那に治療にかかるようにと強く勧めていますが、旦那は自分が鬱であることを否定し、

治療にいこうとしません。心理的問題を抱えている家族としてどのように助けていけばいいかわかりません。

なにもできない自分にフラストレーションを感じます。


⑹.最近、家族を亡くしました。とても悲しくて、絶望感から抜け出せません。仕事も家事も手に着きません。


⑺. 自信なく、自分の決断力のなさを常に感じています。親に頼らないときちんといい決断をつけられません。

大人としてきちんと自分で物事を決められるようになりたいです。


Q3. 心理カウンセリングはどのように行われるのでしょうか?


A.初回のセッションでは、アセスメントとして、クライアントの問題に関する情報を集め、治療のプランをクライアントと立てます。その後のサイコセラピーは週1回か隔週1回のペースで行われます。1回のセッションは、一般的に45ー50分ほどで、クライアントが問題になっていることをセラピストに伝え、セラピストがクライアントと共に解決策を話し合います。セッションの中で学んだ新たなスキルなどを家で練習する、感情を日記に書き留めるなどといった宿題が出される事もあります。


Q4.カウンセリングを通しての治療はどのくらいの期間かかりますか?


A.治療の期間は個人の問題とカウンセリングでの目標によって違います。なかには短期(2、3ヶ月)で問題が向上することもありますし、長期的に悩んでいる問題や過去の心理的トラウマに対する治療などは、長期の治療が必要です。希死願望があるなどといった身に危険がない限り、いつまでカウンセリングを続けるかは個人次第です。


Q5.悩み事があるときには、友人や占い師に相談しています。心理カウンセラーは、友人や占い師とはどう違うのでしょうか?


A.心理カウンセラーは、心理学、社会行動学などといった科学に基づいて行動パターン、心理的葛藤などを向上していく手助けをします。友人と話をすることで、気持ちが楽になることもありますが、カウンセリングでは、自分自身の行動についてのより深い洞察、過去の出来事を理解し、それらがどのように今現在の自分の状況とつながっているのかを学ぶことができます。心理的問題、行動問題の根本的な問題に取り組むことで、自分の感情、行動、人間関係を向上することができます。そして、サイコセラピストは、占い師のように、クライアントに具体的な決断をするかどうかのアドバイスをするのではなく、個人が自信をもって自分の問題の解決策が出来るようになるように指導していきます。


Q6.カウンセリングを受けたいと思っています。よいカウンセラーを見つけたのですが、そのカウンセラーは私の保険を扱っていません。保険を使うには保険を扱っているカウンセラーでなければいけないのでしょうか?


A.保険会社と交渉する事が出来るケースもあります。もしあなたが希望しているカウンセラーが保険の効く”In Network”の他のカウンセラーでは提供できない特別なスキル(バイリンガル、子供に対するプレイサラピー、トラウマに対する特殊な技法など)がある場合には、保険会社と交渉して、保険が効くようになることがあります。カウンセラーがあなたの保険会社を扱っていなくても、まずは保険会社、カウンセラーに問い合わせてみることをお勧めします。


Q7.薬物治療と心理カウンセリングの違いとは何ですか? 心理カウンセラーは薬を処方するのでしょうか?


A.心理カウンセラーは薬を処方することはできません。しかし、薬を処方する精神科医と一緒にクライアントの治療をすることがあります。薬物療法で、過度の不安感、怒り、鬱の気分などは軽減されますが、過去にあった心的トラウマなどの根本的な問題は直す事ができません。そのため、薬物療法をする場合でも、認知行動療法という心理カウンセリングとともに受ける事が一番効果的だと言われています。*1*2


Q8.以前、心理カウンセリングを受けた事がありますが、あまり効果がありませんでした。カウンセリングは自分にはあっていないと思います。


A.心理カウンセリングを受けるかどうかは、個人のチョイスです。しかし、これはほかの分野でのプロとも同じで、例えば、ある歯医者と嫌な経験をしたといっても、すべての歯医者と同じような嫌な思いをする訳ではありません。そして、虫歯があれば歯医者に行き、きちんとした治療をしなければ虫歯は治りません。きちんとした治療の中で、一時的な痛み、不快感を感じることもあります。カウンセリングの中では、どうしても過去の不快な経験について触れなければならない場合があります。そういった時に、怒り、フラストレーション、悲しみなどといった不快な感情を持つことがある場合がありますが、カウンセリングでは、そういった感情の対処法を考えていくものなので、一時的な不快な感情を感じることがあることをご了承ください。心理カウンセラーにもいろいろな技法があり、カウンセラーによってもアプローチが違うので、1人のカウンセラーと自分が合わなかったとしても、必ずしも他のカウンセラーから効果を得られないということではありません。研究によると、クライアントと心理カウンセラーとの良い関係がカウンセリングでの治療の成功率に一番重要な要素です。*3 そのため、まず始めに気の合う、安心して相談できる、そして自分の正直な感情を偏見な観点がなく受け止められる心理カウンセラーを探すことが効果的な心理カウンセリングを受けることにおいては一番大切なことです。


Q9.心理カウンセリングのセッションで話した情報は秘密厳守なのでしょうか?


A.法律によってクライアントと心理カウンセラーの間のコミュニケーションは秘密厳守です。クライアントからの書面での許可がない限り、セッションの中で話した情報を外にもらすことはありません。しかしながら、法によって下記のような秘密厳守の例外があります。

心理カウンセラーは、このような疑いがある場合には、法によって直ちに適切な公共機関に通報することが義務づけられています。

 幼児、扶養家族や、高齢者に対する虐待や放棄の疑いがある場合。

クライアントが希死願望、または他人に重大な危険を加える意思がある場合。

心理カウンセラーはクライアントの安全を確保するために最大の努力をします。個人が安全対策のための指示に応じない場合には、クライアントの安全を守るために、適切な処置を取る必要があります。


参考文献 *1.Walkup, John T. et al. (2008). "Cognitive Behavioral Therapy, Sertraline, or a Combination in Childhood Anxiety." North English Journal. 359 (26). 2753-2766. *2.Roy-Byrne. et al. (2010). "Deliver of Evidence-Based Treatment for Multiple Anxiety Disorders in Primary Care: A Randomized Controlled Trial." JAMA. 303(19). 1921-1928. *3.Lambert, Michael J; Barley, Dean E. (2001). "Research summary on the therapeutic relationship and psychotherapy outcome." Psychotherapy;Theory; Research, Practice, Training. Vol.38. (4). 357-361.